まず、一枚の写真を観てもらおう。
わたしが、昔に撮ったアゲハチョウの飛翔写真だ。

機材は、Nikon D70というAPS-Cサイズのデジタル一眼レフに、10.5㎜対角線魚眼レンズ、それにクリップオン・ストロボ。
シャッタースピードはストロボが同調する最速、絞りは被写界深度を稼ぐため絞り気味に、ISOはノイズとの関係でなるだけ低く、という相反するパラメーターで、全体としてアンダー気味になるよう露出を探ってきめる。
(ちなみに、Nikon D70は、1/500秒でストロボが同調した。)
被写体との距離は、ストロボがけられない程度でなるべく短く、ピントはマニュアルで置きピン。
ストロボもマニュアルで、あらかじめ想定した距離で白飛びしないよう設定する。
あとは、ファインダーは覗かず、腕をのばして被写体に接近して目測フレーミングし、シャッターを押すだけ。
これは、背景を写しこんだうえに、被写体を際立たせる、テクニックだ。

フィルム・カメラ時代に海野和男氏が考案し、数々の名作を生みだしている。
海野氏が、この手法で最初に作品を発表したときは、衝撃的だった。
今では、模倣者が続々と登場しているので珍しくもないかもしれないが。
そうそう、水中写真の世界では、今ではスタンダードな手法になっている。

伊丹市昆虫館に行くにあたって、新しい機材でこれを試してみようと思った。
用意したのは、OLYMPUS OM-D E-M1 Mark IIIに、M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO。
マイクロフォーサーズはセンサー・サイズが小さいので、対角線魚眼レンズの焦点距離は8㎜しかない。
被写界深度を稼ぐには絶好なはずだ。

実際に試してみると、かなり難しい。
歩留まりは、最悪だった。
ボツ写真を量産してしまった。
ずいぶん腕が、なまったなあ、という感じ。
ダメだった点をあげると、

○被写体が、うまくフレーミングできない。
 とうより、そもそも飛んでるチョウが、フレームに入らない。
○ピントがあわない。
 魚眼レンズかつ小型センサーといえども、近接撮影では被写界深度は薄い。
 目測では厳しいものがある。
○ほかのお客さんが写りこんでしまう。
 チョウ温室で、魚眼レンズ使ってりゃ、そりゃそうなるでしょう。
 カメラを振り回して、ストロボ焚いてりゃ、いい迷惑なので遠慮してしまう。
 ちなみに、上の写真はトリミングで顔の部分をカットした。
 ストロボを向けているけど、わたしの妻なので、それはOK。

結論。
この手法は自然のなかで使いましょう。
チョウがたくさんいて、人があまりいない撮影場所を探しましょう。
そして、撮影に慣れましょう。
失敗写真の山のなかに、一枚でも二枚でも、納得のいくものがあれば、よしとしましょう。

それにしても、海野和男氏はフィルムでこれをやっていたんだから、すごいとしかいいようがない。

これは、この日に撮れたなかでは、自分なりには納得の写真。
拡大してみても、ちゃんとピントがきてます。
しかし、被写体が小さいなあ。
そういえば、機材をデジタル化してからの海野氏は、魚眼レンズにテレコンを付けて撮っていましたっけ。
しかし、マイクロフォーサーズの魚眼レンズにつけれるテレコンなんて存在しないのですよ。
OMDSさん、作ってくれないかなあ。
需要が、あまりに小さすぎますね。

チョウ温室で魚眼レンズなら、こっちの写真のほうが、らしいかな。